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ダービーのゴーストカウンセリングのRのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2022年のアメリカの作品。

監督は「ジェイクみたいな子」のサイラス・ハワード。

あらすじ

死者と会話できる能力を持つ高校生ダービー(ライリー・ダウンズ)は高校では変人扱いされながらも、金曜の夜は悩めるゴーストたちを相手にカウンセリングをして成仏させる毎日を送っていた。そんなある日、幼なじみで高校の中心人物であるカプリ(アウリイ・カルバーリョ「クラッシュ 真実の愛」)が不慮の事故で亡くなってしまうが、誕生パーティーを祝えず成仏できないゴースト「ステイヤー」になってしまったカプリはダービーに高校の人気者になり、自身の追悼パーティーを企画しろと命じる。

「シャザム!」主人公(子どもバージョン)の主人公ビリーを演じたアッシャー・エンジェルの出演作で面白そうだなと思い、鑑賞。

うん、なかなか面白い!!

お話はあらすじの通り。主人公ダービーは所謂霊媒体質というか死者が見える能力を持っていて、その能力を生かしてゴースト相手にカウンセリングしてあげる優しい女の子。

そんな女の子がゴーストとの交流を通じて、徐々に自身の内面や過去の喪失を乗り越えていく…というお話とあれば、日本映画とかにもなんか似た設定がありそうだけど、そんな彼女になかば取り憑くのがあろうことかダービーをのけものにしていじめていた高飛車ハイスペック女子というから面白い。

しかも、その女の子カプリはダービーに伝えたいことがあるとか、邪悪な悪霊から守るとかそんな大層な存在意義はなく、ただただ亡くなってもなお自身を讃え、送り出すパーティーをやってほしいそれ一点の利害関係の中でダービーに付き纏うのが新鮮。

ダービー側としてはかつては幼なじみではあるんだけど、高校では爪弾きにされるし、特に思い入れのない存在なのに付き纏われて、そういう意味では悪霊じゃないけど、初めはかなり災難笑。

ただ、じゃあ高校では地味で誰からも相手にされないダービーが中心人物として発言権を持ち、カプリの追悼パーティーをやるためには人気者になるしかない!とその日からカプリによるダービーの劇的ビフォーアフターが幕を開ける!!

またその劇的変化の過程がとにかく今っぽくて、かつては伝説的チアリーダーだった母親の遺品である90年代ファッションを今風にアレンジしてスタイリングやヘアメイクをしたり、インスタやTikTokでフォロワーを増やしたりとZ世代というか令和世代なりの演出の仕方なのがまた新鮮。

またそういう見方でもインスタももちろんTikTokもやったことのないオッサンでも学ぶことが多くて、例えば🍆(男性器)や🐱(女性器)や🍑(オケツ)の使い方(隠語)だったり、ツイートする際はあまり絵文字を使わず、洗練された「3つの絵文字」を使うことで上品さを演出したり、「ストーリーの自慢はあくまで気にしてない素振りで」と…普段目にする若人たちのメッセージってこんなにも意味があるんかとためになった。

あと、人気者になるためのルールとして

1.控えめに自慢
2.不機嫌でもいいけど、悲しむのはNG
3.やりすぎない
4.意識は高く、アピらない

etc…etc…

と、いやぁめちゃくちゃ今のティーンたちって自身のステータスのために日夜苦労してるんだなぁ。

で、そんなカプリのプロデュースもあって、ダービーも高校の人気者になるばかりかその年の「クイーン」にまで選ばれまでに上り詰める。

ただ、そうなると面白くないのはカプリであろうことかパーティーの邪魔をしてこようとしたり、アッシャー演じるカプリの元カレ、ジェームスがダービーを好きになっちゃったり、それきっかけでダービーといい感じだったアレックス(チョーズン・ジェイコブス「パープル・ハート」)と気まずくなっちゃったりとダービーの悩みは尽きない…。

まぁ、展開的にはステイヤーとしてそれまでまったくダービーの前に現れなかったお母さんの扱いだったり、ダービーが一度は人気が凋落しつつもなんだかんだ元に戻る展開がぬるっといっちゃったりと特に終盤はそれまでの楽しい感じからトーンが落ちちゃうんだけど、パーティーの騒動を通して、ようやく1人の親友としてダービーのために「思いやり」をかけるカプリの去り際の美しさだったり、「生」と「死」をつなぐメッセージンジャーとして、心許せるパートナーとカウンセリングを続けることを決意したダービーで終わるさりげなくもいい終わり方で後味の爽快感も良かった。

あぁ、あと最近の流行りとして「第四の壁」を超える演出もナチュラルに取り入れていたのも良かった。特に終盤、アレックスも実は「見える人」ということがわかってのあの演出、なんというか観客参加型の新たな試みみたいな喜びもあってなかなか心憎い演出。

レビュー数も二桁でまだ全然注目されてないみたいだけど、ティーンの生態もよくわかるし、キャスト陣も良くて意外な掘り出し物の一作でした。
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