ヒノモト

グレート・グリーン・ウォール ~アフリカの未来をつなぐ緑の長城~のヒノモトのレビュー・感想・評価

3.2
世界平均の1.5倍の速さで気温上昇しているアフリカのサヘル地域は、気候変動を食い止めるために、2007年よりアフリカの国々主導により大陸を8,000kmにわたって横断する人類史上最大規模の植林プロジェクト、グレート・グリーン・ウォール(緑の長城)計画が開始。

マリ出身の世界的ミュージシャン、インナ・モジャがアフリカ横断の旅を追いながら、セネガルからエチオピアまでの道中での出会いを通して、楽曲制作、ライブを重ねていくというドキュメンタリー映画です。

プロジェクトは壮大ですが、ロードムービー的な流れで、砂漠化や飢餓だけでなく、各地それぞれ抱えた問題を解決していくのは、時間も労力も必要と思われますが、映画自体は観やすい内容になっていました。

しかし、メインとなるインナ・モジャさんの体験から作られた楽曲のレコーディング風景がリッチすぎて、貧困や様々な問題を抱えた各地の人々との対比して見てしまうと、生活格差を感じてしまい、あまり素直な気持ちでは見られなくなってしまいました。

もちろん、アフリカにも発展した都市はあるし、都会暮らしで農村地域のことをあまり知らない人もいると思いますが、スタジオの雰囲気やアーティストたちの余裕ぶりは、あまり映さないほうが、良かったように感じました。

あと、スローモーション使いすぎ。
ドキュメンタリーにおいて、現実をドラマチックに魅せようとするのは最低限でよくて、多用するのは感動の安売りに見えてしまい、もったいないです。

気になるところもありますが、アフリカ自体が人材を創出することで、移民問題も解決に向かうでしょうし、自浄努力で未来のために行う計画自体は素晴らしく、映画を通して知ることができたことは良かったです。
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