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劇場総集編 SSSS.DYNAZENONのRickのレビュー・感想・評価

劇場総集編 SSSS.DYNAZENON(2023年製作の映画)
4.2
 改めて『SSSS.DYNAZENON』を見返すと、南夢芽の物語が大きな柱になっていることがわかる。姉の死の真相を探るエピソードが、1クール通してのフックとなっているが、それ以上にそれは麻中蓬との関係を深める過程でもある。ただ同時にガウマ隊の中で夢芽の占める位置は独特であり、馴染んでいるような馴染めていないようなという具合である。特に山中暦との会話シーンを思い出そうとしても、全く思い出せない(故に今回の特典のボイスドラマはこの2人が主役なのだろう)。
 この仲良しこよし感の一切ない主人公たちのアンサンブルが、ダイナゼノンの魅力なのだ。選ばれし者でもなければ、まだ何者にもなれていない人たちが、あることを契機に全く偶然に集まってしまった。なんの関係もなかった人たちが、少しずつ関係性を築いていく。その過程を丁寧に描き出しているからこそ、よもゆめの2人のもどかしいほどの道のりを応援せざるを得ないのだ。
 夢芽の物語を軸に据えるのであれば、むしろ鳴衣をしっかり出さねばならなかったのではないか...。夢芽にとって最ものびのびでき、軽口を叩いたり、ふざけたりして、「ヤバい人」と言われることのない唯一の居場所であるというのに。まあ、そうなるとダイナゼノンでは無くなってしまうので、なんとも難しいところである。
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