Rick

かがみの孤城のRickのレビュー・感想・評価

かがみの孤城(2022年製作の映画)
3.9
 人は皆、自分の居場所を探して生きている。そんなものが、存在するかもわからないけれども。いろいろな世界に触れていくうちに、居心地が良いところもあれば、なんだか合わないな、いるだけで疲れるなというところだって出てくる。疲れる場所からは、そっと距離を置いてなんとなくやり過ごす。でも、そんなことができるのも、世界が一つではないことを知っているからだ。もっと幼い頃、教室の中が世界そのものだった時期に、居場所がないと感じたら。その絶望は計り知れない。荒れた海の上に建つ孤城で、今も闘い続けている人がいる。その瞬間には、味方なんていない気もしてしまう。誰もわかってくれない、気づいてくれないと思ってしまうのも無理はない。でも同じ絶望を味わった人も沢山いる。過去にも未来にも、現在にも。だから心配せずに、考え続け、闘い続けるのだ。見るべき人は見てくれている。手を差し伸べられる人はきっと差し伸べてくれる。1人だけれども、孤独ではない。
 この物語に小中学生の時に触れられていれば、また何か違ったのだろうかと思う。完璧に共感するにはスレすぎてしまったなと。でもだからこそ、今この物語が必要な人に届いてほしい。アニメ映画として人々に届けやすくしているという点において、この作品は役割を果たしている。
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