レインウォッチャー

マダム・ウェブのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)
2.5
H~i、よいこのみんな~!『マダム・ウェブ』楽しめたかな~?

えっ、なになに…?「マーベル初の本格ミステリー・サスペンス」、どこがやねん?脚本ひどすぎ…?

え~っ、そんなぁ!What a pity!ちかたないなー、じゃあ今からこの映画のただしい見方を教えてあげる!わたしには、みんなニッコニコになる未来が、み・え・て・る・ゾ☆


まずは《ミステリー》の件だね!


この行き当たりばったりでむちゃくちゃな、敵も味方も最初っから一人残らず顔バレしてて山場も見せ場もない話のどこにミステリーがあるんだ?って声が列島からきこえてくるんだけど、それは誤解しちゃってるかな~。
確かに宣伝がほんのちょっぴりアイマイだったところはあるかもね。はんせい!でもでも、これだけ覚えておけばNo Problemだから、安心しちゃって!

この映画のミステリー、つまり謎解きのジャンルは、《まちがいさがし》なの!

だって、考えてみてよ。あれれ~おかしいぞ~(CV高山みなみ)、って思うところ、い~~っぱいあったよね?
・なんで、盗んだタクシーにずっと乗ってるの?
・なんで、ママは目的に関するメモの一つもノートに残してないの?
・なんで、狙われてる女子3人放置してアマゾンに行く(行ける)の?
・なんで、盗んだタクシーにずっと乗ってるの?(reprise)
・なんで、敵への初手は毎回車で轢くの?
・なんで、そもそも敵はクモにこだわってたの?
…etc、etc。

こんなエルモすら憤死するような毎秒Why?の嵐(※1)が、まさかたくさんの大人がたくさんのお金を使ってたくさんのファンが待ってるブランドで大真面目に作った映画にあるわけないじゃん!要するに、これは「いくつまちがいがあったかな?みんなで数えてみよ~~!」っていう、《体験型ミステリー》お笑いアトラクションなんだよ。

映画でこんなコンセプト、なかなかないよね。それに、幅広い世代に楽しめるように見つけるのはとーってもカンタンなんだ!やさしいね!
この映画はアメリカだとPG-13なんだけど、つまり小学校を卒業してるくらいのお友達ならみんなわかっちゃうよ~、だからがんばろ~!ってことなんだ。ところでわたしは70個くらい見つけた気がするんだけど、何かもらえるのかな?ペプシ缶一年分かも?映画の中で、半端な芸能人YouTuberくらいPRしてたもん。たのしみ!


次に《サスペンス》、これもSo Easy!


だってさ、こんなに斬新で攻めた映画を作っちゃって、これからのSONYは、MARVELは、いやアメコミ映画は、いったいどうなっちゃうgoin' on…?しぬの?って、誰もがハラハラドキドキしてると思うんだ。そう、この気持ちは《サスペンス》そのものだよね。事実それは大成功、興行収入即爆死、ロッテントマトは阿鼻叫喚。

映画が終わった後にまで、こんな気持ちをお土産として持って帰れるなんて…すごい企画力だよ。ほんとうにこころからそんけいしちゃう。
しかもそれを、みんなが心のどこかで期待してたスパイダーマンどころかヴェノムもモービウスも出さず、なんだったら予告にいたスパイダーウーマンたち(※2)すらほぼ見せることなく実現しちゃうんだから!ファンの期待なんて後回し、作りたいものを貫くなんて、クリエイターの鏡だよね~~。あー、ほんとうに、こころから、そんけい、しちゃう。


…ふう、こんなもんかな!ほら、《ミステリー》も、《サスペンス》も、あったでしょ?
そうとわかったら、気を取り直してもう一回映画館に行ってみよ~~!あ、最後にアドバイスすると、後ろに誰もいない席を取るのがおすすめかな。だってそのほうが、ツッコミの許容量を超えたとき、気兼ねなくひっくり返れるもんね。じゃあ、Bye~~~^^^^^^☆☆☆


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吹替なかなか良かった。
キャシー(D・ジョンソン)役大島優子さん、声の表情の引き出しは流石に少ないかと感じるところもあったけれど、総合違和感はなかったと思う。それに、序盤に中華を食べてる場面で「アレ」が出てきてニヤっとできたり。今作を観たあと、「未来は、そんな悪くないよ」と言えるかどうかは別にして…

そしてなにせヴィランは子安武人、「親世代からの因縁で夜の街を子安から逃げる話」って、それはもうほぼ『ジョジョ』なのよ。

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※1:ちなみにわたしは普段、この手の整合性問題への感度はかなりザルなほうだと自覚している。そのうえでこうなので、今作について「そんな重箱の隅をつつくような…」と言うならば、その重箱は25mプールくらいのサイズ感があると思う。

※2:ガールズ3人じたいはポテンシャルを感じるので、もっと意味のある役回りと活躍を見たかった。特にジュリア、演じるS・スウィーニーをHBOドラマ『ユーフォリア』で観ている身からすると、今作の地味子ファッションの下に押し込められた霊峰がたいそう勿体ないのである。