凄腕スパイの男〈黄昏〉は正体を知らずにテレパスの少女を娘として、殺し屋の女を妻として迎え入れた偽装家族のホームコメディの番外編オリジナルストーリー。
SPY×FAMILYの劇場版が制作されると聞いて、てっきりプリンセス・ローレライ号編をやるのかと思っていたが、『鬼滅の刃』の無限列車編のように原作の本編を劇場版に回すというのはテレビシリーズのストーリーに穴があいて作品の完成度が損なわれるといった事情があったのだろうか。
この劇場版は、フォージャー一家が旅行することになり、＜黄昏＞もしくは＜いばら姫＞の仕事が絡んできて大事件になるという点ではプリンセス・ローレライ号編と同じだ。もうマンネリの極みだと思う。
マンネリというのは決して悪い意味だけではない。コナンが遅々として黒の組織にたどり着けないように、アーニャはステラ（星）を獲得できず、次々と事件が繰り返されるが、コナン同様にそこには期待を裏切らない安心感があるのだ。その安心感を支えているのが、鉄壁の設定（スパイ、殺し屋、テレパス、予知能力犬）である。改めて、マンネリを生み出せる設定のすごさを思い知った。
一方、アクションシーンも第３期までの進撃の巨人のWIT Studioということもあって、迫力があり、劇場映えしていた。
ただ、この劇場版は、ザ・番外編ともいうべきストーリーで、飛行戦艦や改造人間などがでてくるたりは本編の世界の設定の外側にあるような感じがして、ちょっと無理がある気がする。
そして、アーニャは一応女の子。コメディとはいえ「う〇こ」なんて言わせちゃだめじゃないのか。
