劣等感を抱え主体性に欠けた男が、富裕層により倫理観を弄ばれるお話。自分の行動の意味と直面し、首輪に繋がれた過去と決別しても尚残る依存性・中毒性。一線を越えた後日常に戻る者/もう戻れない者の対比の空虚さ。人間に潜在する暴力性とそれへの欲求を、肉肉しいゴア描写でお馴染みのボディホラーとして成立させていてワクワクした。
が、クローンを経由して実存的な問いを残すSFスリラーなのだとばかり思っていたので、別にそういう路線では無かったのが残念。プロットも平坦で、倫理観が侵されるカタルシスと厭みをもっと見せて欲しかった。まあ魔性のミア・ゴスと情けないスカルスガルドだけで全然満足なんですけどね
