竜平

ザ・キラーの竜平のレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
3.9
パリにて何やら暗殺の依頼を請け負っているらしい殺し屋の男が、その仕事でのとある出来事をキッカケに不測の事態に見舞われていく、という話。主演マイケル・ファスベンダー、監督デヴィッド・フィンチャーで贈るクライム的サスペンス映画。

どうやらプロフェッショナルで、自分の中に鉄則やら経験から来る判断やらもあるらしく、わりと冷静。で序盤なんかは自らのナレーションで自らを語っていくわけだけど、実際はどんな人物なのか、とか、殺し屋としての腕の程は、とか、後々わかってくる展開がおもしろい。初めのほうだけ少し辛抱かなというところ。淡々とこなしていく主人公の様はかっこよく、また恐くもある。ここらへんファスベンダーのクールな演技が光りまくってるなと。てか、実際に殺し屋がいたら、いやいるんだろうけど、こんな感じなんだろうなってゆー、なんというか様々な行程の中で見える現実味というのが良き。で余計なことはしないし無駄なお喋りもなければ人目につくような行動も極力しない。人の記憶にも上手い具合に残らないような立ち振る舞いというのも、なんか「殺し屋っぽい」んだよなーなんて。昨今は豪快だったりやりたい放題だったりの殺し屋アクションが多い気がするんだけど、一周回ってこの静けさは新鮮。かといって凄腕感もちゃんと見えるし、迫力のあるアクションシーンも中盤にあったりして、見応え十分。

とにかく結末への興味でスルスルッと見れつつ、しかし軽めでなくしっかり見入ることができる内容。てかいつの間にかストーリーに入り込んでしまう展開の妙と、そこからじわじわ来るワクワクとハラハラよ、素晴らしい。フィンチャー作品ということで『セブン』や『ゲーム』を思い出してか、個人的にちょいどんでん返しを望んでしまってたとこもあるんだけど、そこは思いのほかすんなり、という印象。いやこれは完全に自分がわるい、変なの求めてしまってた。他のフィンチャー作品と比べて、ってなわけでこのくらいの点数で。フツーに好きな一本。

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