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ザ・キラーのinazumaのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.2
ハードボイルド映画の皮を被ったコメディ映画!?

冷酷で超怖いけど、どこかヌケている殺し屋の話。冒頭からデキる殺し屋オーラをビンビン放ち続けるも、初歩的にも程があるミスを冒してしまうというまさかのズッコケ展開に思わず「あ」と声が出てしまいました。「どんな証拠も残さない」って自分で言っといてバンバン証拠残していくとこで笑いが止まりませんでした。失敗じゃないにしても例えばエレベーターで「死体でも入ってんの?」って言われて一瞬「やべっ」て顔するとことか、あんた全然デキねーじゃん!と突っ込みを入れてやりたくなる。
内容はコメディですが、全然コメディタッチに仕上げてないところが素晴らしい。演じるマイケル・ファスベンダーが本当に"デキる殺し屋"にしか見えないところがまた良くて、この男は焦りが顔に表れないだけで内心すごく動揺しているのがセリフから分かったりするんですが、最後までずっと"デキる男"ぶってるように見える笑。
いつもならこういうキャラクターは好きになるのですが、なかなか好きになれない。妹を乱暴されて怒るのはそりゃ分かるし、同業者(殺し屋)を殺そうとするのは100歩譲っても、罪もないタクシー運転手まで手にかけようとしますかね!!
所々で「大丈夫か?コイツ‥」と思う部分があって最後まで好きになれないまま終わりましたが、振り返るとだんだん好きになってきました。

映画を振り返ったり見返すというのは、大抵は「他に伏線やそれを回収してるシーンがないか」とか、あるいは「謎を解く鍵がどこかに映ってたりセリフの中に隠れてないか」とかを確認するためにやることが多いです。しかし本作の場合は違って、「この殺し屋…他に詰めが甘い部分がないか」とか「この殺し屋…言ってることとやってることが違うとこが他にないか」という見方になっちゃいます。これはまた何度も見返すことになるでしょう!笑
ていうかマヌケなのはファスベンダーだけじゃないというところも微笑ましい。出てくる人みんなどっかヌケている。
元締めたちが揃いも揃ってセキュリティ甘々なところも可笑しかったな。
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