木陰

赦しの木陰のレビュー・感想・評価

赦し(2022年製作の映画)
2.2

無駄にカットが多く、場面転換の最後のカットに印象的な表情や涙を映したり、意味を持たせ過ぎている気がした。そのせいで余韻が足りないような、印象に残そうという意図のせいで印象に残らないような、そんなカットばかりだった。

赦し、という主題を描くにはあまりにも人物描写や脚本が稚拙というか、不足がありすぎるような気がする。我が子がいじめの加害者だったという、証拠すらない被告人の発言を、七年間四六時中憎んできたはずの相手の言葉を、父親はなぜ信じ、赦すに至ったのか。そういう人物描写への丁寧さが感じられず、この映画でしか描けないようなものは何も映っていなかったのではないかと思ってしまった。

そうして、この映画の主題が赦しではなかったとして、ならば何なのかと考えた時に、愛する人たちを失った男をいかにダンディーに見せるのか、ということこそが主題なのかも、とどうでも良いことに考え至った。別れた妻ともう一度やり直すために、妻と関わる機会を作るために裁判を利用したのではないか、とか。

この映画で撮りたかったのはそういう稚拙なラブストーリーのような気がしてならない。そう思わされるくらいには、人間というものが浅く映されていた。
木陰

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