自分たちの悪戯が恋や嫉妬と呼ばれるものとは知らなかった子どもたちの純真さ。
子どもたちにとっては、悪戯とテニスボールだけが彼女と関われる唯一の瞬間だった。けれどきっと、彼女には彼しか見えていなかったのだと思う。今も昔も。
彼が戦死して、子どもたちは無邪気ではいられなくなった。けれど、彼女はそんな子どもたちの姿なんてどうでもいいくらいに見えていなかったのだろう。
軽快な心地良さで走る自転車のオープニングと、走らなくなった自転車、歩く彼女のエンディング。決して交わらなかった子どもたちと彼女、それぞれの気持ち。
ほろ苦くて好きだった。