【ネットに飼いならされている僕たちと、世界(=頭の中)の危うさ/グランドフィナーレじゃなくて最終回ですから】
人新世なんて言葉があるが、人類を滅ぼすのは人類で、その前に人類の頭の中が崩壊してると思わされる面白い作品だ。
現代社会の不穏さをデフォルメして良く表した作品だと思う。
僕たちはいつからこんなにGPSも含めてネットシステムに依存しないと『生きていけないような気になっている』のだろうか。
昔は、地図本を見てドライブすることに問題はなかったし、ニュースだっていろいろ目くばせできた。
情報は垂れ流されていると思うけれども、一読の価値があるものはしょせん限定的でリテラシーがものを言うのは昔も今も同じで、判断材料として重要なものの量はさほど変わらない気がする。
一方、陰謀論大好きな輩は増殖して、ビル・ゲイツが先般、「インターネットは、クレイジーな連中がクレイジーな連中を呼びよせる手段になって、期待外れだった。ソクラテス式問答法を期待していたがそうならなかった」と話していたが、良い得て妙だが、まさにその通りな気がする。
この映画の面白いところは、実は、ロングアイランドを含めたニューヨークに置き換えられているが、これは僕たちの頭の中のストーリーじゃないのかと思うのだ。
ネットが遮断されても、陰謀論が大好きなままで、でも思考能力が実は退化して柔軟性は失われ、そして、でも見たい番組を見ることの優先順位は高いまま変わらず、世界がどうなるかなんて二の次で陰謀論ほどにも心配していない。
結局、頭なの中が爆撃されて、バカを自覚できなくなっているだけなんじゃないのか。
考えさせられる面白い映画。