A8

マエストロ:その音楽と愛とのA8のレビュー・感想・評価

3.7
その音楽と愛と。このサブタイトルがまさにこの作品をうまく表している。

主人公の音楽家としてずば抜けた才能を持ち、実績も十分なほどに残していた。そして、あるパーティーで生涯を共にする女性と出会う。そして2人はもともと一つの光だったかのように惹かれていき、結婚をする。
側からみれば順風満帆な人生、日々頂点を更新するかのような幸せな日々を送っていた。
だが、彼らの心内は違った。
夫は、自分を騙すことはできなかったのだ。
そして、彼女はそれを知っていたが、彼の気持ちを理解しようとし尊重するのであった。
彼女は辛かっただろう、、だが気丈に強く、そして自分の女優としての仕事もこなしていくのだった。
しかし、、それから時間が経ったある日、彼女にも限界が来たのだった。それは何も責められなかった。そして誰も責められないのかもしれない。
しかし、離れていることの方が辛いことを知る。彼らは決して一つでは十分輝ききれない光だったのかもしれない、、。
まるで進化したように2人の姿から愛が溢れていた。
だが、人生は残酷だ、、。運命がまた2人を引き離そうとしていた、、。
そうして私は涙が自然と溢れた。


レナードバーンスタイン。偉大な音楽家の才能と苦悩、愛と音楽、光と影をうまく繊細に描かれていた。そして、最愛の妻フェリシアの存在が彼の栄光にとって必要不可欠だったのだろう、、フェリシアが一度居なくなってから知った彼女への愛。そこから作品の雰囲気は変わっていったような気がした。

レナード演じるブラッドリークーパーの才能は言うまでもない。それと同じくらいいやそれ以上に、フェリシアを演じたキャリーマリガンのパワーが凄まじく、素晴らしい役者さんだと改めて感じた。

印象的なのは一度別れた2人の再会シーン。
立派な教会で行われるコンサートにて、2分ほど続くレナードの指揮が終わった途端にフェリシアを見つけて子どもがお母さんを見つけたかのような姿で彼女へ走っていき抱擁する。彼のそして、彼女の愛が物語る大事なシーンだった。

モノクロからカラーに移行する自然さ、さすがの才能だった。
A8

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