夢生

アダマン号に乗っての夢生のレビュー・感想・評価

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)
3.6
アダマンデイケアセンターは
セーヌ川に浮かぶ精神疾患を患った人たちが集う施設。
近くに水がある事や浮遊感は、精神的な癒しになる。

ここではレッテルはない、ジャッジもされない、
患者と支援者の区別もなく、ありのままの人として接し
患者の抱える不安や孤独の世界から引き出して、生きる事の手助けをちょっとだけする。
押し付けではなく寄り添い、人が人を互いに認め合う。
自分に向き合ってくれるということが、過敏で繊細な患者にとっていかに安らぐ場所であるのかが良くわかる。
ここは治療する場所というよりも、話して、歌い奏で、描きながら、ココロのほころびを繕う場所なのかもしれない。

参加者は皆違った『個』を持っていて、 
議論好きのフランス人っぽい、ワークショップやプレゼンテーション型の治療が興味深かった。

精神疾患治療と言えば、カウンセリング+薬による治療がメインで薬漬けにされたり拘束されたり、いままでネガティブなイメージばかり先行していたので、いい意味でショックだった。

個を軽んじる世の中で、まだ屈しない場所が存在するのか?
私たちの国の中に果たして アダマン号は有るのだろうか?
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