夢生

異人たちの夢生のレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.4
迷宮に迷い込んだような不思議な世界観。
愛に飢え孤独の間で現実と妄想の狭間で揺れ動く感情など、日本版との比較も多様性を考慮しているのか異性カップルから同性カップルとセクシャリティを意識したり、ドラックが絡んでいたり、80年代のクラブシーンにUKダンスポップスが流れていたりと文化や国民性の違いを感じました。
両親の住む80年代のイギリスの郊外は、日本版の下町(浅草)と比べてかなり洗練されておしゃれな佇まいです。

日本の幽霊と言えば、生気を吸い取られあの世の淵に引きすぎ込まれる様なおどろおどろしさがあるけれど、西洋のゴーストはなんだかミステリアスな感じがして、現実をつきつけられてもなお神秘性を秘めた終わり方でした。

35mmフィルムで撮影された映像も、陰影がかったセピアカラーで美しいです。
観終えた後はノスタルジックでなんとも言えないもどかしさと切なさを感じてしまいました。
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