夢生

Winter boyの夢生のレビュー・感想・評価

Winter boy(2022年製作の映画)
3.8
大まかな主題は「息子と母そして家族の再生。』という事なのかもしれないけれど、
国民性や宗教の違いはあれど、スキンシップの仕方や会話の端々で母と息子の距離感が、とても近いとな感じました。
セクシャリティの事は今ではオープンに語られる事が多いとはいえ、やはり家族の中ではセンシティブに扱われていますね。
特に夫や父という大黒柱を亡くしたばかりの母と息子の間柄では仕方のない事なのかな。

また一方で弔い方の違いに驚きました。
お葬式の前日の親族の集まりで、みんなが故人思い出や残された家族そっちのけで、政治やテロの事で議論し合うとか、お墓に納める時に息子が行かないとか色々日本の葬儀とは違うなと感じました。

息子リュカ役のポール・キルシェがとにかく美しすぎる。ノーブルで穏やかで繊細な佇まい。
揺れる心や危うさを言葉数は少ないけれど自然体。
実母のイレーヌ・ジャコブに鼻から口元がそっくり。
そして母の作品「ふたりのベロニカ」の中の表裏一体感が、今作品のリュカの心情と重なりました。

今回は登壇付き特別試写会で一足先に観賞させていただきました。
映画とはまるで違う雰囲気で登壇で現れたポール・キルシェは、スクリーンで見るよりも長身でちっちゃな顔がさらに小さく見える坊主頭にジャージ姿。
悪戯っ子にように、はにかみながら小さな声で囁くようにお喋りしていて、その姿に心奪われました。
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