つぐみ

パスト ライブス/再会のつぐみのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.2
US(ハワイ州ですが)から帰ってきたところで、次は韓国に行く私には文化のミックス具合がドンピシャで何もかもが綺麗で切なくて胸がいっぱいになった。

こういう物語に「この時のあの人はこう思ってたんじゃないか」って解釈を付与するの、ちょっとキモいと思いつつも、いくつか私なりに感じるところがあったので。

まず、ノラとヘソンの再会はこれこっきりで、もう2度と会うことはないんだと思う。「韓国に会いにきて」と言われたアーサーがDefinitelyと言って、アーサーは複雑なりに機会があればノーとは言わない気がする、ノラの故郷を見たくもあるだろうし。でも終始ロマンチックなムードを醸していたけど、ノラもヘソンもお互いがbetter halfじゃないことは会ってみて実感しているはず、だってセリフにもあったけど、記憶の中と、PCの画面でしか知らない相手だもん。事実、彼らの会話は鳥と枝がどうだとか、ロマンチックかもしれないけど、それだけじゃ生活はしていけない空虚なものばかり。人生をともにするのに必要なのは運命でもファンタジーでもない、
ノラとアーサーみたいにお互いの実像を見て過ごす、そして対話を続けることでしょう(続けてないカップルはいくらでもいるが)。
初恋の相手と結ばれるなんてそうそうないです!って思うと初めて付き合った彼女と今も夫婦でいてるU2のボノってすごいよねー、なんの話。

にしてもアーサーめっちゃいいやつ…そしてめっちゃタイプ…エディ・ヴェダー、ピーター・サースガード、シャイア・ラブーフ、私の好きなタレ目メンズフォルダにまた1人追加されました。

最後のノラの涙も、悔恨とか、恋しいとかじゃなくて、自分の居場所に気づけた安堵なんじゃないかなって。もしかしてワンチャンとかそれこそアーサーが言ったみたいにerodeとか過らなかったわけではないかもしれないけど、未然に終わったことに胸を撫で下ろしてるんじゃないかって。
「君には韓国は狭すぎる」「君は去っていく人」そこに尽きるよね。もし12年前に好きだと言えていても、どちらかに会いにいけても、それがハッピーエバーアフターに繋がったなんて何の保証もない。

あと「何が食べたい」って聞かれたヘソン、気を遣ってパスタって言ったんだと思う。だって、友人ともモクサルらしきもの食べてて、今も実家住まいでお母さんの作った手料理を朝から食べる、ノラ曰くとってもKoreanな彼なんだから、別にパスタ欲する回路はなさそうだよね。多分、本当はチゲだかユッケジャンだか、韓国料理をノラと食べたかったんじゃないかな。

…とひたすら想像で書きました。
イニョンがどうとか、ロマンティックラブイデオロギーど真ん中な話かと思えば、その実はめちゃくちゃ現実的でドライ。ちなみにこれも機内映画にあったんだけど、これはスクリーンで見てよかった!!
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