日本の金継ぎに着想を得たという本作。ラナ・ゴゴベリゼ監督は現在95歳。
成熟した文学的なセリフに字幕を見逃せない。
ジョージア映画を観たのは初めてだが、旧ソビエト時代からの歴史を知っているといないのでは感じる深みもずいぶんと違うのだろう。
自分は彼の地についてワイン発祥の地くらいしか知識が無いので、もう少し知ってから観た方がよかったかなとか思いつつ。
古い器の欠片が漆によって継ぎ合わされ、新しい芸術品として再生するさまをモチーフに、男女3名の人間模様が描かれている。
以下、印象的なセリフ
「80歳を過ぎたら、女性の顔にはカラヴァッジョの陰影が見える」
「確かに見えるその陰影はカラヴァッジョの筆によりものだ」
「陰影とはいいものだ」
「若さの埋め合わせになる」
死について
「私たちが生きている間は、それは来ない。それが来たら、いない」
私のような若輩が感じられることなど、ほんのちょっとなのだろう。