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パスト ライブス/再会のmaroのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.5
2024年日本公開映画で面白かった順位:38/42
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

すれ違う想いを抱えて24年後に再会した男女の行く末を描いたラブストーリー。
第96回アカデミー賞で作品賞と脚本賞の候補にノミネートされた作品だけど、、、個人的には「うーん。。。」って感じだったかな。
観終わった後にあーだこーだ人と話すには向いているけれど、映画として面白いかはまた別の話だと思ったから。

本来結ばれてもおかしくなかった2人が、結ばれないまま時が過ぎて、大人になってから「もしあのとき……」とかってタラレバを話しちゃうところがこじらせすぎ(笑)
いやだって、「おまえら自業自得じゃん」って。
ノラが海外移住してしまうのは、これはもう家庭の事情だから仕方ない。
当時の彼女は12歳。
親と離れて、自分は自分の生活をしていくなんてできないから。
まあ、そのときヘソンが告っていればってのはあるけど、12歳じゃね、そんなこと恥ずかしくてできないよね(笑)

問題はその12年後よ。
SNSをきっかけにオンライン上での再会を果たすんだけど、なぜか2人ともリアルで会おうとしない。
確かにノラ(グレタ・リー)はニューヨークにいて、ヘソン(ユ・テオ)は韓国にいるっていう物理的な距離はあるよ。
でもさ、ノラは「いつニューヨークに来るの?」ってヘソンに聞いて、「なんで僕が行くんだい?」という回答。
いや、おまえ行けよって。
ヘソンも「いつ韓国に戻って来るんだい?」ってノラに聞いて、「あたしはこっちで成し遂げたいことがあるから」という回答。
いや、おまえも行けよって。

2人ともそれなりに忙しかったようではある。
ヘソンは中国語の勉強のために語学留学していたようだし、ノラはノラで作家としての活動がある上に、彼女は二度も移住しているからニューヨークでこそ何かを成し遂げたいっていう想いがあった。
で、ヘソンと話していると韓国に帰りたくなっちゃうから、途中で連絡取り合うの辞めちゃうのよ。
女心としては男性の方から来てほしいから、ノラはヘソンがニューヨークに来るのを待っていたのかもしれないけど、とにかく2人とも何かと理由をつけて会わなかった。

それで、その12年後に再会して「あのとき会いに行っていれば……」って、ちゃんちゃらおかしくない?
まあ確かに、海を越える距離の相手に会いに行くのは腰が重いだろうけど、でも、そこまで会いたい間柄なのに会わなかったのは、これはもう本人たちが悪いでしょ(笑)
それをイニョンという"縁"の話を持ち出してロマンチックさを演出していたけど、自分たちの後悔や未練を美化しているにすぎないのでは。

とまあ、ボロクソ言ってしまったけれど、そんなことは本人たちが一番強くわかっているわけで、だからこそやるせない気持ちになるんだよね。
せめてワンナイトあるかなって思ったけど、そういう安易な触れ合いはなかったね。
一時の感情でそれができるほど若くもないし、かといってすべてをあきらめるほど歳を取ってもいない。
30代も後半に差し掛かる年齢というのは、何かを始めるのも捨てるのもしづらい微妙な年代なのかも。
演じている人たちも観ている自分もちょうど40歳ぐらいという年齢で共感できる部分はあった。

そんなわけで、ある程度年齢を重ねてから観ると、自分の人生を振り返りながら過去に想いを馳せる作品にはなるかも。
そして、会いたい人には会えるときに会っておいた方がいいなと思った。
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