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インフィニティ・プールのmaroのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
4.0
2024年日本公開映画で面白かった順位:31/41
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

予告に惹かれて鑑賞した世にも奇妙な設定のリゾート・スリラー映画。
監督を務めたブランドン・クローネンバーグは、あのデヴィッド・クローネンバーグの息子。
親子そろってホラーやスリラー映画を手がけているわけだ。

この映画は、SFチックな設定を通じてある教訓を伝えてくれる。
それは、「人は罰を受けない限りハメを外し続ける」というもの。
予告を観ればおおまかな設定がわかる。
舞台となる島の法律では、過失による事故でも人の命を奪った者は死刑。
ただ、大金を払って自分のクローンを作り、それを死刑の身代わりにさせることができる。
実際にいくらかわからないのがちょっとモヤるんだけど、いわば自分の命を金で買っているようなもん。
で、クローンが処刑された後は本人へのお咎めは一切なし。
また元のリゾート生活を楽しんでいいのだ。

夜道で現地の人をひき逃げをしてしまったジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)は、クローンを作って事なきを得るものの、罪の意識に苛まれることに。
ところが、実は同じように死刑を免れた観光客が他にもいて。
最初はとまどうジェームズだったけど、彼らといっしょにいるうちにだんだんと罪の意識が薄れてきたのか、今度は別の犯罪行為に手を染める。
それでまた捕まっちゃうんだけど、例のクローンによってお咎めなし。
ジェームズたちはどんどん感覚が麻痺してきて、酒にドラッグに乱交にとやりたい放題の日々。
人は罰を受けないと永遠に堕ちていくというのを目の当たりにしたような気分だった。

この連中を率いているのがガビなんだけど、彼女がまた強烈なキャラ。
演じたミア・ゴスは『X エックス』シリーズ(2022-)でもスプラッターな役どころだったから、なんかもうそういうイメージついちゃってる(笑)
今回もいろいろ体当たりな演技をかましてくるんだけど、彼女が出てくるだけでインパクトが全然違うからすごい。

しかも、これ観てて気づいたのは、ガビたちってただの観光客なのよ。
「現地の人に自分たちが優位であることを見せつけてやろう」ってガビが言っちゃうぐらいだから、観光地で傍若無人に振る舞う白人たちっていう構図が何とも。。。
まあ、観光客ってその地域の人じゃないから責任意識が低くなって、普段はしない失礼なことを平気でやるようになっちゃうっていうのは、別に白人に限らずどんな人種でも起こりうる話ではあるけども。
最後、休暇が終わったら何事もなかったかのようにしれっとしてるのはちょっとイラついた(笑)

あと、気になった点がふたつ。
ひとつは、結局なぜジェームズが巻き込まれたのかがよくわからかったこと。
ガビは最初から目を付けていたようだけど、その理由が謎。
もうひとつは、身代わりにされたクローンたち。
どうやら記憶も引き継がれるようだから、もう本人そのものと言っても過言ではないのよ。
下手したら、実は処刑されたのは本人で、生き残っているのがクローンかもしれない。
そんなセリフもあったけど、軽く受け流されていたから、もし続編があるならここらへん掘れそうかも。

そんなわけで、けっこう好みが分かれる内容だとは思うけど、個人的には楽しめた。
ジェームズを演じたアレクサンダー・スカルスガルドは、あのステラン・スカルスガルドの長男。
顔や雰囲気、声がお父さんに似ているのも注目。
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