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アイアンクローのmaroのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.0
2024年日本公開映画で面白かった順位:14/39
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

実在するプロレスラー一家であるフォン・エリック家を題材とした伝記映画。
一家に訪れる度重なる悲運とザック・エフロンの役作りが凄まじく、普段プロレスをまったく観ない人でも楽しめるのでオススメしたい。

僕は普段プロレスを観ないし、このフォン・エリック家のことも知らなかった。
でも、「アイアンクロー」だけは耳にしたことがある。
それぐらいこの必殺技名は有名なんだろう。
映画とは関係ないけど、小学生時代に一部の男子の間で相手の乳をつねる「パイクロー」ってのが流行ったけど、あれも元ネタはこの「アイアンクロー」だと思う。

話を戻そう。
この映画で見どころだと思ったのは2つ。
1つ目は、フォン・エリック家に訪れる度重なる悲運だ。
史実なので言ってしまうけど、この家族は6人兄弟で全員がプロレスラーとして活躍していたものの、次男のケビン(ザック・エフロン)以外はみんな若くして死んでしまうんだ。

正直、亡くなった経緯は映画を観る限りではよくわからない。
まず、劇中ではほぼ触れられていないけど、長男のジャックは幼少期に不慮の事故で死去。
三男のデビッド(ハリス・ディキンソン)は試合で日本に来ているときに腸が破裂し、25歳の若さで死亡。
なぜ破裂したのかは不明。
四男のケリー(ジェレミー・アレン・ホワイト)はバイク事故で右足を切断し、その後がんばって復帰したものの、薬物中毒だったためか精神を病んで33歳で拳銃自殺。
五男のマイク(スタンリー・シモンズ)は試合中に肩を負傷した後、毒素性ショック症候群に悩まされ、将来を悲観したのか、ある日書き置きだけ残して行方をくらまし、遺体で発見。
23歳だった。
また、今回の映画では一切語られていないけど、六男のクリスも21歳で自殺しているのだ。
これが「呪われた一家」と言われているゆえん。

唯一今でも生きているケビンが、物語終盤で自分の子供2人が仲良く遊んでいる姿を目にして、自分にも昔兄弟がいたことを懐かしむシーンは泣けた。
なお、ケビンは今でも生きていて、4人の子供と13人の孫に囲まれて幸せに暮らしているそう。

で、この映画の見どころの2つ目が、そのケビンを演じたザック・エフロンである。
『ハイスクール・ミュージカル』(2006)を始めとする学園モノの映画における美少年的な印象が強いけれど、近年はシリアルキラーや超能力を持つ娘の父親など役柄が幅広い。
今回はプロレスラー役なんだけど、とにかく鍛え上げられた筋肉が凄まじいのさ。
腕は太いし、腹筋も背中もバッキバキで、全体的にバルクアップしまくり。
かつての細身の青年の姿からは想像もできないような変わりっぷりに驚くと共に、その役作りの徹底ぶりに驚かされた。

そんなわけで、有名なプロレス一家が直面する度重なる悲運と、それを背負いながらも生き続けるケビンの姿がとても印象的な映画。
「こういう人たちがいたんだ」って知れるだけでも有意義なので、ぜひ映画館で観てほしいです。
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