ノラネコの呑んで観るシネマ

ペルシアン・バージョンのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ペルシアン・バージョン(2023年製作の映画)
4.8
東京国際映画祭。
傑作!素晴らしい。
イラン系アメリカ人の大家族に生まれ、二つの文化の間で育った作者の自伝的な物語。
軸となるのは主人公と移民1世の母親との確執なんだが、この二人むっちゃ生き方パワフルで、実はそっくり。
お互い頑固で似てるが故に、なかなか認められない。
脚本家の主人公が、母を理解するために彼女の物語を書き始め、やがてそれは60年代のイランから半世紀に及ぶクロニクルになって行く。
そして主人公自身の身に起こるある事件を通して、母娘の大いなる共感の物語に着地する。
登場人物が第四の壁を超えて語りかける、アップテンポなストーリーテリングが心地よく、いい意味でセンチメンタルな家族のドラマ。
なぜかマサラ映画風味のダンス演出も含めて、すごく楽しい映画だった。
作者と同じ様なバックグラウンドを持つと思われる外国人の観客も多く、Q&Aでも彼らが感情移入しまくってるのが感じられた。
やっぱり家族ものはほっこりして良いなあ。
これも早期の正式公開を望みたい。