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ポライト・ソサエティのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

ポライト・ソサエティ(2023年製作の映画)
4.5
これはおもろい!とびきりに可愛らしいイギリス青春映画とちょっとアホらしいけどパワフルなボリウッド映画のミラクルな融合✨パキスタン系イギリス人×家族愛×武術ときたらイギリス版「エブエブ」?かどうかは観てのお楽しみに。

映画で活躍するスタント・ウーマンを夢見る女子高校生リアが主人公。そんな彼女は、画家を目指していたのに大金持ちの青年と結婚し大人しく家庭に入ろうとする姉に納得できず、"ただいま練習中"なスタント技でなんとか彼女の結婚を阻止しようと奮闘するが...

前半はいかにもイギリスのキュートな青春映画で、はいはい、イマドキなキャリア指向の妹と伝統的な生き方を選ぼうとする姉が、最後は互いの異なる生き方を認め合い、多様性を尊重しましょう的なほっこり物語ね~。と思いきや後半、ひねりのある展開にボリウッドのエンタメ性が加わり、めちゃくちゃ面白く!前半の違和感や伏線を鮮やかに回収していく感じもすげぇ気持ちいい。最初からこの後半の調子で走らず、前半と後半を上手く使い分けた疲れされない・飽きさせない構成がホント素晴らしい💮

前述の通り、多様性を認めることの重要性がテーマであるのが、この映画そのものもイギリスがパキスタン系移民のもたらす多様性を受け入れたからこそ製作できた面白さと、テーマをずばり映画が証明しているという仕掛けが見事です。

現代は、性別や社会階級に関係なく個人が随分と自由な生き方を選択できるようになりました。しかし、そのことは「専業主婦(夫)や受付・秘書なんてもっての外!自分の思い描いた理想のキャリアを積み上げて、自分でしかなり得ない特別でキラキラな"何者か"にならなくてはいけない」という大きなプレッシャーと苦しみを若者にもたらしています。本作は、そういった重圧を抱える主人公に寄り添いながらも、改めて基本に立ち返り、迷ったり挫折したりキラキラでない瞬間も味わいながら「焦らずじっくり人生を選択できること」がいかに尊いことなのかを私たちに再確認させてくれます。

女の敵はやっぱり女!?映画全体的には男女ともに共感できるメッセージになっていますが、生殖医療や産む機械論争への踏み込みなど自身の身体に命を宿すことができる女性はさらに考えさせられるところがあるのではないでしょうか?わかりやすい映画なので男性もしっかり当事者意識を持って考えたい。

そんなこんなでエンタメ性抜群ながら、社会的なテーマがわかりやすく提示されて考えさせられるとてもよい映画でした。おススメです。

いきなり日本語の歌がでてきてびっくりした😮また、選曲も使い方も一体どういうセンスよ🤣

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=IjWsvsSAT4A
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