ひば

ソウルメイトのひばのレビュー・感想・評価

ソウルメイト(2023年製作の映画)
4.2
友達に法的拘束力はない。会えばすべてを忘れられる、すべてが終わっても美しい思い出が残る、この感情をどう後生に残せるだろう。この物語も画一的な額縁に収められ人々に感動を与える一方で、一人一人にぼやけた存在を思い起こさせたりする。突然現れ青の色鉛筆でネコを描いた少女ミソにハウンはある意味での瓦解を感じただろうな。わたしの一番気に入ってるシーンはバイクに乗ったミソがこちらをじっと見て、そして小さくなっていく後ろ姿。あのシーンはこれからも何度も思い返す気がする。灯台のようなハウンとそこを公転するミソ。流れ星のジヌ。
韓国版のポスターを見たときからあまりにシャレでやわらかで韓国で情報解禁されたときからずっと楽しみにしていた作品。女性同士の憧れ、妬み、脆さ、寂しさ、恋しさ、わかりあえなさ、それらをもってしても互いの思いやりで強く引かれあい支え合う物語が日常的にもありふれており、そういった一面を茶化さずそれぞれの孤独を受け入れながらクローズアップした作品はそこまで多くないように思えます。女性の感情は画一的なものではありません。感情は名前がつけられるものだけでなく言い表せない複雑な気持ちを映像にして俯瞰しながら追体験できるのはありがたいことです。あぁそういうことってあるよねという共感の気持ちだけではなく、そういう考えは理解できないけどあなたにとっては重要なのだろうと互いの違いを受け入れるというエンパシーが、わかりあうことが困難な分断の時代には重要に思えます。そういうことに気付くときそれはいつも遅いと嘆くことが多いけれど、過去を思い返すとき記憶は荒波にもまれ心は傷つき、しかし気付くと美しい思い出が浜に残っている。寄せては返す波、ソウルメイトとそんなものなのかもなと思います。キミダミちゃんは『The Witch/魔女』の友情シーンが最高だったのでまたそういった作風のものに出演してくれてとても嬉しいです、彼女の表現力には地に足ついた親近感がある。彼女を通して自分の経験したことのない未知の懐かしさを感じるのです
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