想定していた内容より、かなり情緒的な展開かつ昔の韓流的などんでん返し展開が後半立て続けに発生するのだが、プロットの勝利、というかかなりこじつけ感はあれど、前半からの謎（誰がコハウンの名前で、コハウンの絵画を送ったか）がしっかり解決されてて、よく出来た友情ものだった。コハウンさん一人が可哀想、って気もしなくないけど、こういう作品ってどうしてもそうなりがちだから、まぁそこは致し方ないのかもしれない。物語は冒頭、新写実主義として世間を騒がせる突然現れた気鋭の作家「コハウン」の手掛かりとなるブログを辿り、美術館がコハウンの親友らしき女性「アンミソ」に連絡を取るところから、始まる。そこから「ハウン（銀河）」と「ミソ（微笑）」の二人の女の子の物語が、回想という形で展開される。二人の間にジヌという医師となった男も介在するのだが、基本的には二人の女の子の話だった。そして、後半の叙述トリックというか、プロットの妙を感じさせた。後半のハウンの劇的展開は「えー」とついていけない部分があったのだが、事実を把握するにつれて、なるほどな、と納得させられた。要するにこの作品ってよくある「届かなかった手紙」の一種に類する映画ではあると思っていて、かつ物語がご都合主義に流れず、結構冷徹に死を描いている部分もあり、よかった。日本だと二人の女の子が世間に揉まれながらも関係を続けていく様、その変化を描いていく展開は「blue」ぽいな、と。あれも二人の出身地は港町だったしね。結構ベタ展開のパッチワーク的な編集や、分かりやすくするための回想も多く、そこで意見分かれる部分もあると思うが、ウェルメイドに丁寧に二人の関係性を描いていたな、と思った。あのハッとするような巨大な肖像画の画面構成はエドワードヤンの「恐怖分子」を思わせたな。
