そーいちろー

吸血鬼のそーいちろーのレビュー・感想・評価

吸血鬼(1932年製作の映画)
3.8
吸血鬼ってなんなんだろう、と思っていたし、なぜ十字架に弱いのかと言うと、この作品を観るとよく分かった。要するに吸血鬼も悪魔狩りの一種で、さまざまな伝承があるんだろうが、何らかの疫病にかかった人を人々が恐ろしがり、悪魔として信仰の敵の対象として向き合う存在として扱うものだったのだ。ゾンビは吸血鬼の現代版の変形で、信仰によって退治されるべき存在、忌むべきものであることが分かった。その観点で本作を観れば、ドライヤーが本作を描いた理由はよく分かる。要するに彼の宗教映画、信仰についてを描いたものであるのだが、表象的なものだけを観れば、妄想に駆られた青年の幻想とも観れるし、森深くの村で起こる伝奇ものとも受け取れる。いずれにしても迫力ある作品であった。
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