このレビューはネタバレを含みます
胸熱です。
公開時玉三郎45歳。
その若々しい素顔と快活な受け答え。
歌舞伎を見だしたのは十数年前からだから、時間が巻き戻された魔法に感極まる。
冒頭から鷺娘のラストをめっちゃヨリで見せて貰って興奮。
こんな細かい技を繰り出しまくってるんやなぁ…凄い。
男の素顔も強烈に美男。
舞台上の女形の演技中は、異界を出現させてしまう異能の俳優。
と書いたのも、玉三郎が映画中のインタビューに答えるなかで言っていた言葉による。
この映画で取り上げられた人たちの残した仕事の重要さを教えられた。
杉村春子も竹原はんも蔦清小松朝じも大野一雄も。
フィクションパートの濡れ場…この単語がビタはまりで、めちゃ体温上昇しました。堪能的。
その後、宵闇のなかで男から身を隠す芸者のシーンの美しさにウットリ。なぜかタブッキのインド夜想曲を読んでる時の快感を連想した。
レナード・ベルタという超有名なカメラマンだそうですが、夜気が己が身にしみ込んでくるようだった。
どの画面も生で接しているような臨場感や慕わしさがあとをひく映画。
ラストに再び鷺娘。
冒頭は舞台袖からの視点だったが、今度は客席からの視点。
すると、なにをどうやってるのか分からないが、ひたすら凄くて美しいものを見せて貰っている状態。
俳優が異界の生き物になる瞬間。
パンフレットに、映像ではカットされていたインタビュー部分を載せてくれてあり、丁寧な仕事に感謝!