そのじつ

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのそのじつのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

天才的変態クローネンバーグの新作が、往年のヤバヴィジュアルなので超期待して観た。

ヴィゴがアングラアートシーンのカリスマで、そのパートナーがレア・セドゥーての絵からしてハマりすぎ。

アタシも開かれたい!という衝動が精神的な比喩ではなく、肉体に直結しているあたりクローネンバーグ節。

ヴィデオドローム、イグジステンス、クラッシュ、戦慄の絆などに登場した有名なアイコンが散りばめられ、ちょっとクローネンバーグ回顧展な気分も。

忌避される異物を受け入れ新しい肉体を得る。
原点から常に繰り返し語られて来たテーマをまた形にしたのは、世界規模のパンデミックを経験した今だからだろうか。

痛みという感覚を失った人間はヴァーチャルリアリティの中の住人で、セックスも機械を介して、または夢の中で繋がっている。

機械に繋ぎ止められ生きる体は、異物を排除され醜く改ざんされていく。
やがて機械を離れ己の肉体のなすところを見たいと思う男。

世界が規定するフレームを跨ぎ越える一歩。それがクローネンバーグの描き続けて来たラストじゃないかと思う。

それとも、監督の個人的体験を(たとえばガン治療などの)うつした映画なのだと解釈すると一番シンプルな気もする。
そのじつ

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