ほいほい

テトリスのほいほいのレビュー・感想・評価

テトリス(2023年製作の映画)
3.8
『テトリス』って、シンプルなゲームですよね。でも、そのシンプルさが生まれる裏側には、実に複雑で、時には危険とも言える人間関係や政治的駆け引きが渦巻いていました。映画を観ながら、あの単純で美しいゲームの裏に、こんな泥臭いドラマがあったのか、と。

これ、アートやアイデアってものが商業や権力に飲み込まれていく現象そのものなんですよね。「創作はピュアだけど、現実はドロドロ」という対比が絶妙なんです。

主人公は「テトリス」というアイデアに心を撃ち抜かれるのです。そして、その純粋な情熱を持って、権利問題という巨大な壁に挑む。要するに「信念を貫く男の物語」です。

彼が何度も交渉に失敗したり、ソ連という体制の壁にぶつかったりするシーンがあるんですが、それでも諦めない。その姿に、「クリエイターが本当に守りたいのは、アイデアそのものなんだな」って気付かされるんです。


映画の中で描かれるソ連、これがまたすごい。単なる背景設定じゃなくて、「体制」そのものがひとつのキャラクターみたいに描かれている。主人公がソ連の官僚たちと対峙するシーンなんて、まるでRPGのボス戦みたい。


ここで感じたのは、「個人のアイデアと大きなシステムの対決」という構図。これ、現代でも普通にありますよね。クリエイターが自分の作品を守ろうとしても、大企業や法律、政治の力に阻まれる。まさに「社会と戦うクリエイターの物語」なんです。

テトリスって、形がピタッとハマった時の快感がすごいじゃないですか。映画を観終わった後に思ったんですよ、「あの感覚って何なんだろう?」って。

テトリスっていうのは「人間が持ってる本能的な欲求」に訴えかけるゲームなんですよね。ピースが揃うとスッキリするっていうのは、まるで人生の問題が解決した時のカタルシスみたいなもの。だからこそ、世界中の人がテトリスに夢中になったんじゃないかって思いました。

最終的には「アイデアの価値」について語ってるんだと思います。どんなに体制や権力が邪魔をしても、信念を持ってそれを守り抜くことがどれだけ重要か。それって、クリエイターに限らず、誰にでも当てはまるテーマですよね。

自分が本当に守りたいものは何なのか?を問いかけられるような気がしました。
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