大きなテーマのひとつは「過剰な不安」。
ボーは幼少期から母親の影響で、あらゆるものに怯える性格になっています。彼の生活は常に不安や恐怖に支配され、まるで「心の牢獄」に閉じ込められているかのようです。
監督は、この不安を現実世界と幻想世界の入り混じった不気味な場面を通じて表現しています。たとえば、ボーが暮らす地域は荒廃し、どこか現実離れした不穏さが漂っていて、それは彼の心象を映し出しているとも解釈できます。
また、母親との関係がボーのトラウマの根幹にあり物語全体に強く影響を及ぼしていて、母親はボーに対して過保護でありながらも支配的な存在で、彼の自立を妨げるような形で育てています。
このような親子関係は、ボーの不安定な性格や生きづらさの原因として描かれ、作品を通して「家族の影響がどれほど深く人生に刻まれるか」というテーマが浮かび上がります。特に母親の存在がボーの人生にどう影響を与え、いかに彼の心の中で圧倒的な存在として残り続けているかを、物語の展開を通して深く掘り下げているのが印象的。
観客に「恐怖とは何か」を問いかけていて、ボーの恐怖は彼自身の中にあり、それが現実の世界に映し出されているかのようです。
恐怖を外部の怪物や敵として描くのではなく、心の内側からにじみ出る「内面的な恐怖」として描いています。恐怖や不安が増幅されるさまをビジュアルで描くことで、観客にも同じ不安を疑似体験させ、心理的なホラーとして成立させています。強引に。
アリ・アスター監督が描く「不安と恐怖の心理的な探求をシュールで不気味な表現で描き出していると思います。
観る人によっては難解な部分もありますが、ボーの心理や不安がどのように形を成していくかを理解することが主題となっていました。
トゥルーマン・ショーのオマージュかな?とも思うので合わせて観ると面白いかもしれません。