Amber

夜明けのすべてのAmberのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.2
プラネタリウムなどのキットを製作、販売している栗田科学に勤めている藤沢美紗(上白石萌音)は月経前症候群(PMS)のせいで、生理前になるとイライラが抑えられず、眩暈なども感じるため、仕事場での振る舞いに悩んでいた。
山添孝俊(松村北斗)は、もともと大手企業に勤めていたが、パニック障害発症をきっかけに、栗田科学に転職。
栗田科学の社長(光石研)はじめ社員はそんな藤沢さんや山添くんをそっと見守る。
藤沢さんは山添くんが会社で発作を起こした時に、自分が飲んだことがある薬を彼が探していたことから、山添くんのパニック障害を知ることとなり…。

原作読了後に久しぶりに映画館で鑑賞。
(この映画の公開が発表された頃に興味が湧いてすぐに読んだので、ほぼ1年前でした。)

原作にはない、プラネタリウムのシーンがとても素敵でした。
宇宙は、何万年もかけてゆっくり変わっていく。
それと同じように、変わらないように見える日常や、自分の状況も、ゆっくりゆっくり変化していく。
自分以外の人に意識を向けて、その人のために何かを考えたり、行動したりすると、いつのまにか、自分が少し楽になっていたり、助けられていたり。

大きな出来事はないけれど、主人公たちと周りの人たちのささやかでも温かい関わりが、観る人の気持ちもじんわり温めてくれるような映画でした。

原作にない設定やシーンでも、原作の持つイメージを壊さない自然さが、監督の原作へのリスペクトと、役者さんたちの高度な理解力の賜物なんだろうなとおもいました。

印象深かったのは、作品を通して、ポイントで挟まれる夜の街灯。星空みたいで、素敵でした。

あとは山添くんが、藤沢さんの忘れ物を届けるために、はじめはいらないと断った、藤沢さんに譲ってもらった自転車に乗って陽だまりの道を走るシーン。

思い通りにならない自分を不自由に感じていた山添くんが、希望を感じて前進していることを表していて、よかったです。

私の大好きな主演のお二人、上白石さんも松村さんも、琴線に触れる声というか、心に語りかけてくる声をお持ちで、とても癒されます。ずっと聴いていたい。

そしてお二人の空気感というか、セリフのテンポや独特の間がとても好きです。何回もクスッと笑わせてもらえました。

カムカムエヴリバディしかり、また共演が観たいです!
Amber

Amber