ねーね

夜明けのすべてのねーねのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
期待以上。わたしはこの映画がだいすきだ。
じんわり、ほんのり、ゆっくりとあたたかくなるカイロみたいに、世界の感じ方をちょっとずつやさしく変えてくれる。そんな、宝物のような作品。
もしかしたら、世の中って、わたしが思っているよりも辛く厳しいばかりではないのかもしれない、と思えた。

出演者全員の演技が自然すぎて、ほんとうに存在する職場を覗き見してるような感覚に。
こんなにもやさしい人々に囲まれていたら、どれだけ幸せな日々をおくれるだろうか。

個人的な話だけれど、わたし自身、長年PMSの辛さと向き合ってきたし、何度も何度もそれが原因で恋人と喧嘩したし、世界に絶望して、自分を大嫌いになったりした。
そして、パニック障害とまでいかずとも、ここ一年で突発的なパニック発作に悩まされるようになっていた。
そんなさなか、本作に出会った。
そして気づかされたのだ。
病気は大小あれど、「解決すること」がすべてじゃない。
「理解しようとしてくれる人」がそばにいてくれるだけで、一瞬でも世界に救いを取り戻すことができるんだと。

弱さをもっているもの同士、支え合えて、こんなにもわかりあえるなんて奇跡みたいなことだと思う。
これは、ふたりとも他人を思いやれるやさしさをもった人だからこそで。
わたしは、普段自分自分ばかりで周りのことを考えられていないなと反省した。
藤沢さんのように、視野を広く持ってだれかのために考えられる人間になりたい。
山添くんが彼女をみて、変われたように。
彼の笑顔が少しずつ増えて、生きることに前向きになって、他人のことを考えられるようになって、プラネタリウムを愛せるようになって、みんなにコンビニで買ってきてほしいものを聞けるようになって。
そんな彼の姿に、すごくすごく勇気をもらった。

30代のこのタイミングでこの映画に出会えてよかった。
きっと、いろんな人にエールを与えてくれる作品だと思う。
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