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シザーハンズのmayumayuのレビュー・感想・評価

シザーハンズ(1990年製作の映画)
3.7
お正月に娘と恒例、実家の布団の中。
学生の頃に一度観ているはずだが何故かあまり覚えていない。ティム•バートンの映画は好きなものも多い娘も、観てみたかったとのことで鑑賞。

あれ、こんな話だったっけ。
娘は「思っていたのと全然違う!ハッピーエンドが良かったな‥キムや町の人にもやもやする‥」と言っていました。

事態が悪い方悪い方へとどんどん転がっていくのを悲しく見守ることしかできない。初回鑑賞の記憶がないわけがちょっとわかった。
さすがに今観ると少し違った見方ができるけど、「甘く切ない現代のおとぎ話」ってアマプラの紹介にはちょっと違和感がある。

パステルカラーのおうちにパステルカラーのクルマ。小さな町から夫たちは定時に仕事へ行き時間通りに帰ってくる。暇を持て余している妻たち。
噂に群がり、最初もてはやし、何かあると今度は真逆に振れて、叩かれて炎上する。
無茶苦茶風刺が効いてるよなぁ。
ポップな色使いの町に現れた、パンクな格好のエドワード。異形だが心優しい。発明家亡き後たったひとり過ごしていたお城から、優しいペグに連れられて町に来る。

わかる、わかるよ、娘よ。はじめの原因に関わったキム、なぜ庇わないのかと思うよね。町の人の酷すぎる仕打ちに憤る気持ちも。

周囲に溶け込み加わりたい、一緒に楽しく過ごしたい、でもできない。もしくは、溶け込まないといけないと思わされている、でも上手くいかない。昔も今もあるそんな閉塞感。
純粋すぎる才能あるエドワードへの迫害に近いような仕打ち。
恋と嫉妬という論理的思考とはかけ離れた強い感情。
ペグやキムの叫びは群衆には届かない。
キムは若くて無力だ。
この容赦ないストーリーだからこそ刺さる人が沢山いて、ずっと名作として在るんだろうと思う。

ペグと夫が優しいよね。ペグは初対面でも驚かないし、夫はとてもおおらかだ。好き。
若いウィノナが最高に可愛い。
ジョニー・デップはいい映画に出てだよなぁ‥目の演技が‥
発明家の俳優さんカッコいいな‥

エドワードはひとりで寂しいけど、静かに暮らしていた。町に来て、好きという感情、嫉妬や苦しみ、理不尽など、正の感情も負の感情も知った。エドワードはそのことをどう思っているんだろう。
心優しいのに、手がハサミであるが故に気をつけないとすぐ周りのモノや人を傷つけてしまうなんて、悲しい設定だなぁ‥

Hold me.
‥I can’t.
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