イベリー子豚

ビデオドローム 4K ディレクターズカット版のイベリー子豚のレビュー・感想・評価

4.7
「VS『氷の微笑 4Kレストア』」
「【クローネンバーグ】の真骨頂」
「【アンダーグラウンド】カルチャーの帝王」
「もう1人の【ポール・ヴァーホーヴェン】」
「【40年前】を感じさせないストーリーの奥行き」
「『TITANE/チタン』『ダークグラス』じゃ満足出来ず」
「『忌怪島』に足りなかった全て」
「《刺激のために刺激を求める時代です》」
「《東洋のセックスか。神秘的だが面白くない》」
「《どこだと思う?ピッツバーグよ》」
「《素敵な部屋だ》」
「《君のテープだ。君に返そう》
「《ビデオドロームに死を!》」
「オマケは無いけど余韻が凄い!!
新作公開も……場が荒れそうだぜ!!!」




凄すぎる。

ネットもスマホも無く
唯一にして最大の娯楽がTVだった、あの時代。


確かに
「フェティッシュ・ゴア・スリラー」としても
【アブノーマル・カンパニー】が飛びつきそうな
一定水準を突破しています。


「挿入中に相手の耳にピアスをあける」なんて
チェリーボーイが千年かかっても
辿り着けない、神々の領域。


でも
『全裸監督』のような
単純明快なアングラ・エンタメとは一味違う。


「記憶や意識が電気信号なら
ある特殊な刺激を視覚や聴覚に送り続ければ
自我や肉体そのものを支配出来る」


荒唐無稽で笑い飛ばせない、悪魔の実験。

洗脳なのか。覚醒なのか。

開かれるのはシックスセンスか。地獄の門か。


本作の恐ろしいところは
「ビデオ/TV番組」をそのまま
「TikTok/YouTube」に置き換えられるところ。


一億総アカウント時代、誰もが
心の中に【マックス】と【ニッキー】を飼っている。


もっと「いいね!」を。
もっと「再生回数」を。
もっと興奮を、もっと刺激を。


迷惑行為や炎上発言・提言は元より
FC2やPorn Hubもその証拠。

暴走する承認欲求は
「ビデオドローム」の一種ではないのか。


「ルーティン」や「Vログ」
「違法切り抜き」「踊ってみた」の最中に
サブリミナル映像を仕込まれ
意識に刷り込みされてはいないのか。



そして
忘れちゃいけない
本日の脚フェチ・インフォメーション。

有識者いわく
「例えガーターベルト自体が写っていなくても
見切れている腕の予備動作で
ストッキングを膝上まで引き上げていると分かるなら
もう、そこにそれは存在している」です。



ラストのオチも
「映画館に行きたすぎて恋人を作れない」
深刻な「シネマドローム」末期患者に対する
警鐘でしょうか。



多感な時期に
『トータル・リコール』や『ナインス・ゲート』に
触れてしまったイベ子も
新人間になるべく【ケロッピー前田】氏の
SNSをフォローしたいと思います。



《ブラウン管は網膜です》