映画を観終わった時は4かなと思ったんだけど、パンフレットが素晴らしく良かったので5。
これ個人的に刺さりすぎて年間ベスト候補です。
視覚障害者が主人公だけど、障害を乗り越えてみたいな演出はゼロだし、関係者のインタビューみたいなものも泣かせるナレーションみたいなのも一切無し。
ただひたすらクライミングに打ち込むアスリートと、ガイドパートナーの姿がそのまま映ってました。
実は私、同行援護従業者っていう視覚障害者の外出をサポートする資格を持っているのですが、状況を言葉で説明しながら安全の確保もしつつ誘導をするというマルチタスクで、研修受けただけでこんなの私には無理!ってなって仕事にするのは諦めたんです。元々資格が欲しかったわけではなく、義母が視覚障害者なので勉強しておこうと思っただけなんですけどね。
ベテランの先生方も日頃から家族を相手に説明する練習を常にしていると仰っていたので、冒頭に出てくるお子さんがコバさんに的確にルートの説明をするシーンでまずガッシリと掴まれました。
あれって一朝一夕にできることじゃないので、本当に日常的にやってるってことがよく分かるんですよ。
パラリンピックの短距離走のドキュメンタリーを見たときにも思ったんですが、視覚障害者のアスリートとが結果を出すのってパートナーの力量も凄く重要だと思うんですよね。自分が感覚的にできることを口で説明するのって凄く難しいし、瞬時の判断力も必要だし、ましてや視覚障害者は命を預けるわけなのでただ技術があるだけでもダメで、信頼関係とか相性とかもある中で、最高のパートナーに巡り会えるのって奇跡に近いのではないか。それがこの二人にはあるなーと。そして登場する友人達もみんな素敵。
これまた個人的な話なんですけど、その昔アウトドアウェアのデザイナーをやってたことがあって、クライミングの知識なんか全然無いしその道具どうやって使うのかもよく分からないままTシャツのデザインとかに使ってたんで、実際に使ってる動画を見ると色々感慨深いし、あの岩に掘られた壁画で柄をデザインしたこともあるなーとかね。
そしてアメリカの雄大な景色もとにかく美しい。映画館の大スクリーンならではの迫力が堪能できました。
最後のフィッシャー・タワーズのドローン映像はひたすら怖い。ミッション・インポッシブルの最新作予告ばりに怖い。
そしてチラッと見切れるカメラマンに、あんな近くで撮ってるの?!と驚愕。
本人もすごいけど、スタッフもすごいよね。
パンフレットの読み応えがすごくて、映画より泣けてしまった。
お二人の絆とか、撮影裏話とか、企画の経緯とかを読んだら、更に奇跡みたいなエピソード満載で、改めてもう一度映画を観たくなりました。
音声ガイドの制作に友人が関わったそうなので、次はガイド付きで観ようかな…。