漱石枕流

ボストン・キラー:消えた絞殺魔の漱石枕流のレビュー・感想・評価

3.6
実話モノは真実味がある反面、弱点がある。元ネタの結末が観客の期待に沿わないケースだ。もちろん大幅に脚色する方法もあるが、リアリティーが失われてしまう。

本作の場合、なるべく事実を伝える方向でストーリーを構成したように感じられた。そのためか、最初に期待したほど盛り上がらない。むしろ中盤から終盤にかけて、すこしずつ下がっていく。

ちなみに映画としての出来は悪くない。特に殺人鬼におびえた60年代のボストンを表現するために、どんよりと暗く表現した街並みはとても味があって、この作品のムードを高めている。キャストの演技も良く、退屈はしなかった。

ただ、満足感はもうひとつ。序盤、妻の手柄を喜び、仕事に理解を示していた旦那が、しだいに不満を示し始め、やがて夫婦関係が失われていく過程も見ていて辛かった。

ひとつ疑問に思ったのは、なぜこの事件にFBIが関与しなかったか、ということ。こういった州境の壁に阻まれてしまう場合に対処するために存在している機関なのに・・・ もし理由があるのなら、説明が欲しかった。

[ドイツ語吹替音声+日本語字幕]2023/11/16 Disney+
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