むかし、あるインタビューで故・高畑勲監督が漫画やアニメの起源について語っていた。
それは平安時代の〝絵巻物〟にあるという。西洋の絵画表現にはない線で描いたタッチの絵で物語を綴っているあたり、たしかにそうだなと思わせる。(ちなみに江戸時代の草双紙はより漫画っぽい)
そして本作は能楽の起源が室町時代にあり、その発祥となる人物を描いた映画だという。
かなりのオリジナリティーが感じられる。自分が今まで観てきたどの作品にも似ていない。そういう意味では高く評価してもいいと思うのだけど、じつは私はまったくノレなかったのだ。
独特の演出が好みでないのと、物語の流れがわかりにくい。セリフでの説明が多い。あと音楽シーンがいやに長い・・・
たしかにこの時代に琵琶でロックのような音楽を弾いていたというのは驚き。とはいえ、琵琶や和太鼓で演奏されているようにも聴こえない。どこかのインディーズバンドが路上で歌っているものみたいで、ただただ冗長。
実際の演奏は記録には残っていないから、現代音楽を元に曲を作ってそれっぽく埋め合わせした——という印象。ここのところにもっとリアリティーがあったら、また感想も違っていたかもしれない。
[オリジナル音声+日本語字幕]2024/01/30 WOWOWシネマ(2023/09/17録画)