てんさん

映画プリキュアオールスターズFのてんさんのレビュー・感想・評価

3.4
ここ最近のプリキュア映画の中ではぶっちぎりでイイ!プリキュアシリーズが一貫して持つ友情・つながり・信頼といったテーマのみを残し、その他の要素をバッサリ割愛。アクション重視と割り切って、スカッと爽快!に仕上げた快作。

シチュエーションスリラーでよく使われる「いきなり別次元からスタート」する思い切りの良さといい、過去作品のシーンを上手に絡めたストーリー展開といい、構成が素晴らしい。キャラの性質も上手に組み合わされており、他シリーズのキャラ同士が同じ時間同じ場所に存在したらそうなるであろう振る舞いも丁寧に描かれており、ファンのアガる気持ちを掴んで離さない感。

オールスターズとはいうものの、主体となるメンバーは厳選。推しのスパイシーがメンバーから外れたのは残念だったが、ブラック&ホワイトの初代コンビなど、いまの技術で描く過去作の新規カットがふんだんに盛り込まれており、過去からプリキュアを見ているファンであればあるほど楽しめる構成。さすが20周年。気合い入ってんな〜。

劇場での鑑賞だったが、子連れよりも大人女子のグループが目立つ。お話も映像の品質も大人向けとして十分耐えられるもので、後半はエヴァを見ているような気分にさえなる。

感涙して席を立てずな大人女子も複数いて、なるほど。これほどまでにメモリアルなものとして記憶に刻まれるなら、プリキュアはただの子供向け作品として作っているわけではないのだな、と感心。

なんとかライダーやなんとかレンジャーなど男の子向けのヒーロー番組は消費される傾向が強い気がするのだが、その点でプリキュアは一線を画す。圧倒的に「残るもの」として基礎設計されていないと、大人ファンをこんなにも繋ぎ止められないはずだ。

この部分は、ドラえもんやちびまる子ちゃんでも実現し得なかったもの。なるほどプリキュアとは唯一無二のコンテンツなのだなあと、おっさんながらしみじみ思う。
てんさん

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