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カンダハル 突破せよのtakumiのレビュー・感想・評価

カンダハル 突破せよ(2023年製作の映画)
4.4
イラン核施設破壊任務を終えた潜入工作員トム。リークにより身元が暴かれてしまい、通訳のモーとともに640キロ離れたカンダハルに向けて決死の脱出を図る…

頼りがい溢れる現場のタフガイを演じたら右に出る者はいない男、ジェラルド・バトラー主演作。ハラハラドキドキの展開にアクション、ポリティカルサスペンス、男気に友情と、全部どストライクでした…

ジェラルド・バトラーが出てるからにはアクション!時折見せるバトラー氏とトラヴィス・フィメルのタクティカルな銃さばきに舌鼓をうちつつ、今作では火薬量多めの爆破シーンにカーチェイス、暗視ゴーグルを使った新鮮味ある対ヘリ戦など粒選りのアクションシーンが楽しめます。

敵役も含めて味のあるプロフェッショナルが多い登場人物も魅力的(主人公の足引っ張るキャラがいないのが良かった)。主役のトムは戦争依存症で離婚を言い渡され、卒業式を控える娘に何をプレゼントしていいかも分からない家庭人としては散々な有り様ですが、通訳のモーと触れ合い、人間性を取り戻すのはベタだけどグッとくる。

主人公を追い詰めるイランの対外情報部局リーダー、ファルザドは超話通じそうな見た目なのにキッチリ冷酷だけどチームを束ねて家庭にもしっかりコミット(奥さん美人過ぎ!)するというトムとは正反対のキャラ。

パキスタンのスパイ、カヒルもイケメン口達者の世渡り上手で女たらしというジェームズ・ボンド顔負けのキャラなのに、都会に憧れている人間臭さが可愛らしい。憧れのロンドンに行くためにロンドンから来たスパイを狩る… 中盤、タリバンの少年兵に向けた言葉は印象的でした。

通訳のモーは、辛い過去に囚われながらも中盤にみせる行動は、終わらない中東での戦いへの、一つの希望なのでしょうかね。

トラヴィス・フィメル演じるCIAの捜査官も、手段を選ばない面を見せつつもユーモアと凄まじいブラザー精神で仲間を助けるカッコよさで最高。大好き。そして名もなき詩CIA中間管理職が見せる男気までも…

奇しくもイスラエル情勢が緊迫する時に公開となりましたが、米軍撤退後の混沌としたアフガン情勢をベースにしたイラン、パキスタン、タリバン、軍閥、そして旧アフガニスタン政府軍まで入り乱れるポリティカルサスペンス要素もなかなかでした。

序盤の導入がかなりもたついているし、思ったほどアクション多めではないので、思い入れのない人にはいつものバトラー映画で3.5点!て感じ。でも当方にはグサッと刺さりまくる、個人的傑作でした。暗闇アクションもあるし、どうせなら映画館で!!

明日からも心にジェラルド・バトラーを置いて、仕事頑張ろう。

モーの家族を探しに行く続編があってもいいな…

追記
パンフレットは中東情勢から用語解説に人物相関図、レビュー記事など、複雑な内容を補完するのに必須な情報盛りだくさんでとても良かったです。
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