Punisher田中

ヴァチカンのエクソシストのPunisher田中のレビュー・感想・評価

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
3.8
舞台は1987年のスペイン。
かつてサン・セバスチャン修道院だった場所へ移り住んだ家族の内の末っ子の少年に悪魔が憑いたとアモルト神父の元に一報が入る。
アモルトはヴァチカンのチーフエクソシストであり、その地に務めるトマースとともに本格的な調査を開始するのだった。

ぶっ飛び肉体言語系エクソシスト映画かと思ったら、かなりまともなエクソシスト映画だった!
堅実💪だが、これはこれで面白いし、昨今では逆に珍しいのでは。
悪魔との戦いを通して描かれる、己の欲と過去のトラウマとの闘いが良かった、神父に精神攻撃をするタイプの悪魔が良い悪役だったし、それによってラッセル・クロウ扮するガブリエルとその助手エゼキエルのキャラが際立っており、お手本の様な悪役っぷり。良い...!!
ここ近年のエクソシスト作品とは一線を画す様なリアリズムっぷりを序盤から露わにしている。
悪魔を動物に憑依させて動物毎殺す地味な祓い方や、悪魔の憑依を訴える人間の9割が精神疾患だと言い切ったりと、全くロマンもないのだが、作品自体は最終的にしっかりエンタメしてくれるのでここまで堅実且つ安定して面白いのは珍しい。

ただそれと同時に悪魔との対峙や怪奇現象がそこまで怖く無いのがやけに目立っていた、人間描写が意外にしっかりしているだけに惜しい。
しかし、本作の監督のジュリアス・エイバリー氏がSNSで必死に日本語を使って告知したり、実際に本作を鑑賞した日本人に1人ずつ律儀にリプライを送るなど、かなり好意的にプロモーションをしている姿を見てしまうと贔屓目無しには見れない作品だ。実際面白いのだから余計に。
このタッグの祓魔譚を是非これからも続けて欲しいし、もっとエキサイティングにノワールに進化して欲しい所。
元祖エクソシストへのラブも入ったつくりになっているので、エクソシストシリーズが好きな方には鑑賞してほしい作品。