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窓ぎわのトットちゃんのYMのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
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金銭や物質面で裕福な人々を描いているんだけど、それとは別に言葉にできない豊かさを感じた。そしてそれがものすごく儚いものであること、そしてその言葉にできない豊かさを保ちつづける強さも。

初めて教室に入って走りだす、勇気を出してプールに入って泳ぎ出す、想像の景色、ああなんと美しいことか。涙腺ゆるゆるなので泣いてしまったな。
映像の美しさはもちろん、平和の大切さを訴える映画として大傑作だと思う。


鮮やかで素直で豊かな子どもたち、優しく気高い大人たちの生活の背景や一瞬の違和感として、丁寧に刻まれていく戦争の影。
いきなり日常が戦争一色になるわけではなく、じわりじわりとカビが広がるように、教育現場に、街中に戦争の影が広がって、気づいた時にはそれがもう当然のように生活を覆ってしまう。これが起こってしまったことだと、たくさんのものが失われた後だと、そこにいたトットちゃん、黒柳徹子本人のナレーションで眼前に突きつけられる。緻密で圧巻の演出。
戦争絶対嫌だし許せん。その気持ちを改めて大切に持っていかないと、とめちゃくちゃ純粋に思わせてくれた。
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