たつやん

窓ぎわのトットちゃんのたつやんのネタバレレビュー・内容・結末

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

 小さいころ、青い鳥文庫で何度も読んでいたトットちゃんの映画化を観るのは、楽しみでもあり怖くもあり…と半々な気持ちで見に行ったのですがそれは杞憂で、戦争の悲惨さや教育の素晴らしさ等、本にあった魅力を映像化して広く子供たちに向けて作ろうと心掛けている、素晴らしい作品であると思いました。
 一番印象に残ったのは何と言っても映像のキレイさです。リアル過ぎず、ファンシー過ぎずという絶妙なバランス。あくまでもトットちゃんの目線に立って話を進めているから、戦争前の物々しさ等は最小限にあえて説明を省かれ、始めてのモノに触れるはつらつとした映像が続きます。途中にあるアートシーン等最高です。それによって、後半の食べ物が無くなる、友達が亡くなる等の悲惨なシーンがより心に来るのだと思います。
 
 冒頭の、確かに転校する前の学校の先生の反応やトットちゃんに振り回される母親のオーバーなリアクションは少しクレヨンしんちゃん的な印象を持ち、作風にそぐわないのではないのかと思いましたが、それは後半の戦時下でのギャップとして機能している「あえて」取り入れたモノなのだと感じました。 
 総じて、今揺れ動く世界情勢下において、あえて作る意義がある。志の強い作品だと思いました。
たつやん

たつやん