たつやん

PERFECT DAYSのたつやんのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 朝、主人公が外の竹ぼうきの音で目を覚まして、歯を磨いて、缶コーヒーを買って車に乗って、仕事のトイレ掃除をして休憩中に木の写真を撮って、仕事終わりに銭湯の一番風呂を浴びに行き、居酒屋で少し酒を呑み、家に帰って文庫本を読みながら眠る…。という一連の生活を繰り返す作品で、特に冒頭、この生活をセリフ無く見せてくれた時に「この映画すごい!」と思い、そこから惹かれていきました。

 同じ生活を繰り返す中、主人公の周りの人達に変化やドラマが起こり、それによって少しだけ自分の生活に影響が起きたり、それによって主人公の過去の片鱗が起きたり…という内容で、主人公の成長とかは一切描かれないというのも良いと思いました。バックレた同僚の金は結局帰ってこないし、キスされたあの子とはそれきりだし、姪は結局自分の家に帰るし、●×ゲームのやり取りもそれだけ。
 言ってみれば主人公はこの作品の中心に鎮座する木で、その他周囲の人たちは風。主人公が時折木漏れ日の写真を撮影しているように、風が木の葉に触れることで発生した木漏れ日という名のドラマを我々に見せてくれているのだと思いました。

 劇中で流れるカセットも恥ずかしながらほとんど初見だったので、何を歌っているのか最初は分らなかったのですが(字幕が欲しかった…!)、あとでその歌をSpotifyで聞き、歌詞に込められた意味を知ることが出来ました。ラストの曲なんかも、平山がこの生活に至るまでに通ってきたであろう苦難、そして手に入れた満ち足りた日々を表現しているようでとてもお気に入りです。というよりカセットでその時の主人公の心情やシーンを説明する様はGOtGを思い起こしたり…。
たつやん

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