陰謀論者X

窓ぎわのトットちゃんの陰謀論者Xのネタバレレビュー・内容・結末

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

会社の同僚からイイゾ〜と聞いており、漫画家の山田玲司さんも熱く推していたので見に行こうと決意。公開最終日に間に合いました。

戦争中の市井の生活を描いた作品「この世界の片隅に」を劇場で見た時は感極まってしまい同じ列の中年男性たちと一緒に滂沱の涙を流し、前列の若い女性に不審がられた経験があるのですが今作も自然に涙が溢れてくるものがありました。

原作未読なのですが、新鮮な気持ちでトットちゃんワールドに浸ることが出来ました。黒柳徹子さん、もう40年くらい前から「徹子の部屋」で見せる落ち着いた物腰の大御所というイメージがありますが、幼い頃はオブラートに包んで言えばお転婆、病名付ければ多動症だったのだなという驚き。

昭和の富裕層の生活感(当時最先端だったであろうトースターとか氷を入れて冷やす冷蔵庫とか)が新鮮な印象でした。それが対米戦に突入して2年めともなると物資が欠乏してお弁当が質素なものとなり、じきに食料も配給制となり、お洒落だったモガの母親もモンペ姿になっていくところに、島国の日本がひとたび戦争に巻き込まれれば国民の生活は等しく貧しいものになっていく様が見ていてきつかったですね。

またキャラクターデザインはみな血色が良い感じで非常に新鮮でした。昭和の児童書のイラストをモチーフにされていたみたいですね。序盤で見せるトットちゃんのくるくる変わる表情と動きが良かったです。

廃電車を利用した校舎のトモエ学園が実在していたというのが面白いですし、日本で初めてリトミック教育を始めたというのも先進的な学園があったのだなぁと。学園長である小林氏のどこまでも寛容な態度と、焼夷弾が着弾して炎上している学園を見ながら「次はどんな学校を作ろうか」という叫びは彼の狂気の側面を垣間見たようで少し怖かったかもしれません(演出なのでしょうが)

黒柳徹子さん以外にもトモエ学園から女優2名と物理学者を排出しているのもWikipediaで知りました。
陰謀論者X

陰謀論者X