Totoire

ミッシングのTotoireのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.7
石原さとみ凄い。この感想に尽きる作品。『正欲』の新垣結衣もそうだったが、最近の邦画作品での主演女優の演技という域を超えた”憑依”が突き抜ける印象が続いている。出だしからなぜ娘(有田麗未)が失踪したのか、犯人は誰なのかという二つの謎をストーリーを通じて小出しに展開し、母・沙織里の弟(森優作)の奇怪な行動や、奔走するマスコミの現場担当者(中村倫也)の葛藤が入り混じり引き込まれる。中盤以降は第二の誘拐事件を機に沙織里の心情、母親としての感情移入の移ろいが機微に描かれている。世間や関係者間での人間関係のやるせなさと、それでも時折垣間見る人の温かみや優しさ、両面を丁寧に映し出していたのには唸ってしまった。ラストの着地点が若干迷走感があったことだけが惜しいが、人生というのは得てしてまとまりきるものではないというのも示唆に富む。(事実世の中に未解決事件は山ほどあるし。)
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