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ネクスト・ゴール・ウィンズのYuのレビュー・感想・評価

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『白人はスピリチュアルに弱い』

国際Aマッチ史上最大の得点差【0対31】を叩き出した弱小サッカーチームとキレっぽい監督の、実話を基にした凸凹スポ根映画。
彼らは約束の“ワンゴール”を決めることができるのか!


好きです胸熱。
王道のスポ根映画なんですが終始ふざけまくってるので、かなり人を選ぶ作品ではありそうです。

個人的には、才能を見出されマーベル大作を監督するまでになったワイティティ監督が、自身が持つポリネシアのルーツに帰って今作を製作したという過程がアツいなと思います。

もちろんユーモアたっぷり、どころじゃなくふざけてるシーンも多々あるのですが、
米国領サモアの伝統的な挨拶やダンス、文化などにスポットライトを当て、演出として尊重している点に優しさを感じました。

決して“異国の地に来たアメリカ人が、異文化に触れて考え方を改めた”的な、文化の消費をしていないのが伝わります。

米国領サモアでは、LGBTQの考え方も昔から当たり前に存在していたそうで、
今作に登場するジャイヤも、ファファフィネと呼ばれる第三の性を持つ人でした。

ちょっと気になったので調べたんですが、いわゆる性的マイノリティとファファフィネは若干違うそう。
【家族や地域など共同体を重視するサモア社会で、家事や高齢者、子どもの世話など主に女性に割り振られた役割を担う】というのがファファフィネで、性的嗜好とはまた別のようですが、男性でも女性でもない第三の性、という立ち位置で、古くから受け入れられていた存在だそうです。(参考URLは文末に載っけています)


今作はファファフィネであるジャイヤをデッドネーミングするシーンがあったり、ホルモン治療の苦しさを描いたり等、LGBTQの理解を促す演出に力を入れているなと感じました。

勝ち負けの結果にしか目がいかないのがスポーツの性だけど、“幸せってなんだっけ?”と人生の向き合い方を教えてくれる明るい作品でもありました。

根は真面目なので、そういった格となる部分から誠実さが伝わってくるところがワイティティ監督の良いところだと思います大好きです。

とはいえ、冒頭の語り部登場には吹き出しました。ラストも語り部で締める徹底っぷり。
ワイティティやってんな〜〜!



《ファファフィネ参考文献》
◯ https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/repository/metadata/4043/JNK001904.pdf
◯https://www.47news.jp/4537063.html
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