曲者タイカ・ワイティティ監督が所謂スポ根映画を撮り、これまた珍しく強者マイケル・ファスベンダーが等身大の人間でサッカーコーチを演じる良い意味での珍品です。
1点の得点も入れられないサモア代表の弱小サッカーチームのコーチに成り行きで就任した訳ありコーチが、共に奮起してワールドカップに挑む常套展開ではありますが、御多分に洩れず楽しめる作品です。
実力があるのに諸々の事情を抱える選手や、可笑しみがある間抜けなキャラたちが混ざり合うチームと、落ち目で破天荒なコーチが切磋琢磨しながら成長して行き、やがて迎えるクライマックスの試合シーンは、分かっていてもアガリます。
フィクションであっても不思議でない奇跡的な展開ながらも実話を題材としているという妙味を、クセのある独自のユーモア感覚で紡いだタイカ・ワイティティ監督の手腕が上手く効いている娯楽作品になっています。
