かこ

白鍵と黒鍵の間にのかこのネタバレレビュー・内容・結末

白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

🖋️【銀座で起きた不思議な一夜】

試写会にて鑑賞させて頂きました。

舞台は昭和63年、夜の銀座、場末のキャバレー。当時の銀座を知らないのでタイムスリップしたような印象。

冒頭のゴミ捨て場からは不穏な雰囲気がただよう。ジャスとゴミ捨て場がどう絡むのか、期待が高まりました!

映画の主人公はピアニスト。
ジャスシーンもありますが、監督もおっしゃっていた通り、ピアノを弾かされている人の物語に近いです。

そして演じるのは池松壮亮さん、劇中のピアノを弾くシーンは全て池松さん御本人なんだそうです👏🤩
凄くお上手でした‼︎

博は場末のキャバレーで周囲に小馬鹿にされながらピアノを弾く、まだ夜の銀座を知らない純粋な青年。ただピアノを弾きたいだけ。でもある夜"アイツ"が現れ、何も知らずに禁断の曲「ゴッドファーザー」を弾いてしまう。そこから彼の運命が狂い出す。こんな場所でピアノをを弾きたいわけじゃない!「俺はこんなところで何をしてるんだ?」更に高みを目指す博はまだ純粋な青年。

一方の南は名の知れたキャバレーでピアノを弾く。彼は夜の銀座を牛耳る会長に気に入られ、周囲からも一目置かれた存在。一曲弾けば大量のチップが彼に渡される。ジャスの世界、夜の銀座を知り尽くしてしまった、そんな太々しさも感じる。華やかな舞台で活躍し成功を納めたかのように思われるが「俺はこんなところで何をしてるんだ?」現実と夢のあいだで揺れ動く男性。

でもこの博と南、瓜二つ。
それを指摘する人物が誰もいないことがずっと不思議に思った。狭い界隈、普通なら即話題になるはずなのに。

徐々に違和感を覚える。

それもそのはず、今作はピアニスト南博の3年間を、なんと一晩の出来事として描いた時間軸が複雑な映画。

複雑だけど全容が見えてくる手法が良い‼︎
仲里依紗と博の元同僚サックス奏者がポイントかな。

博が大きなキャバレーでピアノを弾く経緯、
"アイツ"を見て驚く理由、元同僚のサックス奏者がセッションに参加した理由など、点と点が一気に繋がるところは凄く面白かった‼︎

あとキャラ強めな登場人物も見ていて面白い笑!

禁断の曲「ゴッドファーザー」を弾く、博と南の立場の違いにも注目です。

同一人物でも月日が経てば人を変えてしまったり、目標を達成してもまたそこで新たな壁や目標が生まれる。思い描いていた憧れの場所でも自分の感覚とズレていく事もある。
でも当たり前の感情のような気がする。どこまでも貪欲に生きる、私はいいと思った。

監督ならではのユーモアをミックスさせた今作は私にとってかなり貴重な体験となりました。

素敵な試写会ありがとうございました。
かこ

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