完全なる男社会で女は蚊帳の外、その中に男らしさの愚かさやアホらしさや美学があって、描きたかった内容に対してきっちり自分のケツを自分で拭いた作家としての知性も完成度もある。ただ、それでも北野武だからというだけではフォローできない台詞回しのキレのなさ、稚拙さが目立ってしまい、北野武でしかできないポジションかつもう北野武では演技力がついていかない、という悲しみもあった。あとカットが細かいし映画は長いし、終盤は冗長にも感じた。キャストの豪華さに対して抜けた空気による洒脱さ、というよりも内輪の悪ノリみたいで勿体無い。
あと、キャストは何故か渋めのベテラン燻銀俳優達たちとスターおちゃらけ主要俳優に分かれていて、シークエンスが変わるとチームが変わるような構成になっているのがなんとも…。
中でも岸部一徳がずば抜けて空気が違う。恐ろしいし油断ならないオーラがある。今回は楽しい撮影だったんだろうな、という中で岸部一徳がただ1人ものすごい俳優という感じがした。
