泣けて泣けてしょうがなかった。もうすでに素晴らしい感想がたくさんXにも溢れてるので言うこともないんだけど、個人的にすごく心に響いたのは、(メタ的な見方かもしれないけど) 鬼太郎の達観に似た諦観、孤独みたいなものはこういったバックグラウンドがあるからなのかという思いと同時に、それは鬼太郎のキャラというよりも水木しげるの姿を見ていたんだという悲しい二重の構造。(いくつか原作の雛形になるエピソードはあるけどもちろんこの作品は後から作られた物語で水木しげるの手がそこまで入っていないにも関わらず、これは水木しげる先生の血脈を感じる作品だ、という確信のようなものがある。それだけすごい作品だった)
こういう最初にちょっと舐めてかかってしまいそうな映画、アニメ映画でさらに前評判が高く、しかしどことなく不安要素もある作品ではあるものの、ありとあらゆるポイントで「これは信頼に足る作りをしているぞ」で溢れていて、制作陣の細やかな気配りや目配せが随所にあってどれだけの時代考証や確認作業があったのだろうかと憶測が止まらない。それだけあらゆる瞬間に完成度が高かった。
あと新宿でほぼ満員の中で見たけど今年映画館で観た映画の中で、館内が明るくなる最後まで誰も席を立たない映画は他になかった。自分もエンドロールで席を立つことはあるんだけど今回ばかりは立てなかった。(もっというとエンディング曲が、アレンジがあまりに良くてそこでも衝撃)
